リピート&利益率を最大化!戦略的「顧客維持」のススメ
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営業にとって、「顧客維持」は新規開拓と同じように重要な課題のひとつです。
商品やサービスを一度だけ購入してもらい、関係を終えてしまう顧客も一定数存在します。
新規開拓を継続しながら、顧客を定着させるにはどういった施策をとれば良いのでしょうか?
今回は顧客関係を築き、さらに継続的に購入してもらう「顧客維持」の方法について解説します。
安定的な売り上げを見込むためには、顧客維持が欠かせない
既存顧客に継続的に商品やサービスを購入してもらうことを、顧客維持(カスタマーリテンション)と言います。
リピート数を増やし、より高額な商品を購入してもらうべく、顧客との信頼関係を強固にしながら戦略的に顧客ロイヤリティを高めていくことが重要です。
いかに優れた商品やサービスを提供したとしても、顧客対応が悪ければ簡単に顧客は離れていってしまいます。
インターネットの普及で誰もがすぐに情報を得ることが可能になった今だからこそ、既存顧客に継続的に利用してもらうための顧客維持が必要なのです。
顧客維持の重要性を裏付ける「1:5の法則」「5:25の法則」
なぜ顧客維持が重要なのでしょうか。
営業には新規顧客と既存顧客の両方が存在しています。
しかし、新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかるという「1:5の法則」のとおり、 利益率の低い新規顧客のみを継続的に獲得し続けることは不可能に近いと言えます。
一方で、既存顧客の顧客離れを5%改善すれば、利益が最低でも25%改善される、という「5:25の法則」があるように、 既存顧客の維持が可能になれば、継続的な売上やクロスセル、アップセルのチャンスがあります。
新規顧客と既存顧客の割合は、3:7が安定した企業成長には理想的であると言われています。
売り上げの7割を占める既存顧客の顧客維持には様々なメリットがあります。
顧客維持のメリット
- 新規顧客獲得よりもコスト効率が良い
- 口コミを通じてビジネスを成長させる機会がある
- 既存顧客の単価、購買頻度を上げることができる
- 企業価値を高めることができる
このように、売り上げや効率性の面以外にも顧客維持がもたらすメリットは多く、企業成長において顧客維持は欠かせないと言えます。
顧客維持の具体的な手法
顧客維持においては、企業の提供する商品やサービスに対する「顧客満足度」を高めることが重要です。
顧客維持を図るためには様々な施策があります。
1. 顧客のニーズを分析・把握する
近年は「カスタマイズ」、「パーソナライゼーション」といったより「個」に特化したマーケティング・サービス提供が進んでいます。
これまでの購入履歴やお客様の属性・嗜好、アクセスログなどを活用し、セグメント化することで、満足度の高いサービスを提供できるようになります。
顧客一人ひとりの特性を正確に捉え、それぞれに合った施策を行うことが重要です。
2. 競合他社との差別化を図る
選択肢が多い現代社会において、自社の商品やサービスが選ばれるためには、強みや価値を強く打ち出すことで競合他社との差別化を図ることが重要です。
ハーバード大学経営大学院教授のマイケル・ポーター氏によると、競争戦略の類型として下記の3つの基本戦略を提唱しています。
1. 差別化戦略 | 自社の独自性により、競合と差別化を図り、顧客にとっての魅力と価格を想像し、競争優位を獲得すること |
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2. コストリーダーシップ戦略 | 競合企業よりも安い価格で商品・サービスを提供することで、競争優位性を担保すること |
3. 集中戦略 | 企業の資源を特定のターゲット、製品、流通、地域などに集中すること |
競合他社に打ち勝ち、優位性を築くためには、これらの戦略の中から最適な戦略を選択し、単独で実行していくことが大切です。
3. 顧客体験(CX)を改善する
この数年だけを切り取っても、顧客の購買行動には大きな変化が生じています。
在宅や非対面を推奨する動きが続く中、より一層デジタルに触れる時間が増加し、スマホやアプリといったデジタルから情報収集・比較検討をする顧客が増え続けています。
この顧客やユーザーが企業の商品・サービスに興味を持ち、その商品・サービスを利用するまでの一連の流れを 「顧客体験(CX)」と言います。
顧客体験は、企業が顧客と接する顧客接点(タッチポイント)の集合体であり、顧客接点が増えることによってマーケティングが複雑化してきています。
顧客満足度を向上させるためには、顧客体験を整理して課題を明確にし、適切な施策を行うことが大切です。
そのためには机上の空論で策定するのではなく、実際に顧客の立場に立ってユーザー視点でサービスを受けてみることが重要です。
信頼関係を構築し、選ばれる企業へ
訪問営業を重視する傾向にあった日本の営業も、2020年を境に大きく方向転換しています。
2020年にHubSpot Japanが実施した『日本の営業に関する意識・実態調査』によると、 「どのような営業担当者が、買い手にとって誠意のある営業担当者だと思うか」という問いに対し、 多かった回答は「できないことを明確に伝えてくれる」で40.4%、「社内でも気づいていない課題を発見し、解決策を提案してくれる」で38.4%。
次いで、「自社のアピールより顧客の課題ヒアリングを重視している」との回答が35.9%にのぼっており、 見込み顧客/既存顧客に関わらず、顧客の状況に合わせて適切・的確にフォローをし続けることが重要なポイント となることが分かりました。
まとめ
いかがでしたか?
顧客を失わず、関係を育てていくためには「顧客維持」は欠かせません。顧客にとって、自分の利用状況や嗜好を把握し、 カスタマイズされた適切なサービスを提供してくれることは特別な価値になります。
顧客満足度を高める努力を行い、「他社ではなくこの商品・サービスを使い続けたい」と愛着を持ってもらう工夫を怠らず、顧客との関係を育てていきましょう。