顧客のニーズが見えてくるBtoBデジタルマーケティングとは
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私たちが普段何気なく生活の中で使っているパソコンやスマートフォン。
ネットやアプリは日々の暮らしの中で切っても切り離せないほど、当たり前のプラットフォームとなりました。
そんなインターネットやIT技術など『デジタル』を活用したマーケティング手法を「デジタルマーケティング」と呼びます。
デジタルマーケティングを用いれば、ビックデータ技術やAIなどを活用して顧客の嗜好や行動を分析し、隠れたニーズやトレンドまで把握することが出来ます。
今回は、顧客のニーズが見えてくるBtoBデジタルマーケティングについて解説します。
Webマーケティングからデジタルマーケティングへの変革
日本では1993年頃を皮切りにインターネットが普及しはじめ、それまで新聞や雑誌、 テレビなどを通じたアンケート等で顧客の行動履歴を分析していたマーケティングから、Webサイトへのアクセスの分析や、細かくセグメント分けされた個人へのメール配信など、 インターネットを通じたwebマーケティングへとシフトしていきました。
そして、2008年頃のスマートフォンの登場によって、これまでのWebサイトを通じたwebマーケティングプラスして、 スマホやタブレットの行動履歴、アプリといったユーザーがあらゆるデジタルを通じて行動したデータを活用する「デジタルマーケティング」が主流となってきました。
富士通総研が2020年1月にデジタルマーケティングを実践する大企業のマーケターを対象としてアンケート調査したところ、 75.5%がデジタルマーケティングは「ビジネス貢献している」と回答し、「従来の営業活動ではアプローチできなかった新規顧客を獲得した」という回答が41.1%にものぼるなど、 新たな手法による分かりやすい効果を得ていることがわかりました。
(参照:富士通総研 大企業のデジタルマーケティング取り組み実態調査)
2008年のリーマンショック以降、国内の多くの市場において汎用化が進み、 市場が年々縮小傾向にあるBtoBにおいては既存顧客からのアップセルやクロスセルだけでは成り立たず、 常に新規顧客開拓やマーケット拡大を継続しなければならない時代となりました。
このことからもBtoCのみならず、BtoBにおいても企業が成長をし続けるためには「デジタルマーケティング」活用の重要性が高まっています。
関連記事:アンゾフの成長マトリクスで考察する「新規顧客開拓」と「成長戦略」
デジタルマーケティングの購買行動モデル。カギを握るのはSNSの攻略
マーケティングにおいて、消費者の購買行動モデルの把握は不可欠です。
インターネットの普及、そしてスマートフォンの浸透に伴い、私たちの購買決定プロセスにも日々変化し続けています。
下記は、消費者行動モデルの進化を示したものです。
消費者行動モデル | 消費者の購買決定プロセス |
---|---|
AIDMA (アイドマ) |
製品の存在を知り(Attention)、興味をもち(Interest )、 欲しいと思うようになり(Desire)、記憶して(Memory)、 最終的に購買行動に至る(Action) |
AISCEAS (アイシーズ・アイセアス) |
製品の存在を知り(Attention)、興味をもち(Interest )、 製品について調べ(Search)、比較の上(Comparison)、 検討し(Examination)、購買行動に至り(Action)、 それをSNSや口コミサイトなどで情報共有する(Share) |
今や誰もが手軽にオンラインやアプリといったデジタルで情報収集・情報共有が手軽にできる時代になり、デジタル上の顧客接点(タッチポイント)は増加の一途を辿っています。
普段の生活の中でも、通勤途中でSNSや動画を見たり、気になることはすぐにスマホでググる、 音声型SNSであるClubhouseの拝聴やウェビナーの参加など、デジタル上でのタッチポイントがたくさんあります。
これからのデジタルマーケティングにおいては、これらの中でも特に実際のユーザーの口コミなどの情報収集や、 使用感や感想をテキストだけではなく動画などでより分かりやすく情報をシェアできるSNSの攻略がカギになります。
SNSの場合、上記の消費者の購買決定プロセスにおける「検索」「比較」を同時に行うことができ、購買後の「情報共有」までもひとつのサービス上で行うことができるのです。
これらのことからも、SNSの攻略はデジタルマーケティングを行う上では欠かせないポイントとなっています。
カスタマージャーニーマップは「顧客視点」が要
しかし、顧客接点(タッチポイント)の増加に伴い、顧客の購買行動と意思決定プロセスはますます複雑化してきています。 多様化するタッチポイントを横断的な視点からサービス全体を設計する必要があります。
ここで必要なのが、顧客が自社の商品を購入するまでの接点を可視化しプロセスを描く「カスタマージャーニーマップ」の策定です。
多様化する購買プロセスを、カスタマージャーニーマップを用いることで、ペルソナの行動や思考、感情が時系列で見えてくるため、 ひとりひとり、つまりは「個客」に合わせた効果的なマーケティングを行うことが可能になります。
カスタマージャーニーマップは、顧客の体験価値(CX)の向上や、施策の優先順位付けに活用できるなど、様々なメリットがあります。
カスタマージャーニーマップを作るうえで大事なことは「売り手」目線ではなく、「買い手」目線で策定を行うことです。
現状の状況を正しく把握し、複雑にし過ぎず、ゴールは明確に、カスタマーの動きを点ではなく線で見るように心がけましょう。
カスタマージャーニーは顧客の心理を知る重要な手がかりとなり、マーケティングの目的や現在抱えている課題が明確になるため、コンテンツ企画や制作における道筋が見えてきます。
カスタマージャーニーマップのベースが出来上がったら、次にKPIの設定も欠かさず行いましょう。
KPIを設定することで、問題点の洗い出しや目標の進捗がより可視化でき、施策に対する評価が明確になり、 達成感が得られ、モチベーションアップにつながります。
デジタルマーケティング活用には専門家や外部パートナーの助力も
デジタルマーケティングには実際どのような手法があるのでしょうか?
具体的に見てみると…
リスティング広告/SNS広告/ディスプレイ広告/純広告/オウンドメディアマーケティング/SEO(検索エンジン最適化)/コンテンツSEO/Eメールマーケティング/アクセス解析/マーケティング・オートメーション(MAツール) /動画マーケティング…etc
といったものが挙げられます。
これらの様々な手法の中から、自社の商品・サービス、そしてブランドにあったものを選択し、PDCAサイクルを回しながら改善し続けることが大切です。
例えばBtoBの場合、企業の購買担当者は新しいサービスの導入を検討した際、同じようなサービスを利用している企業からの紹介や、 ネット検索でサービス提供会社の比較、成功事例なども導入の判断材料のひとつとしています。
この場合、購買担当者が入力したキーワードに関連させた広告を表示できるリスティング広告や、自社メディアやコーポレートサイトを活用したオウンドメディアマーケティング、 良質なコンテンツを積み上げることでSEOで上位表示を狙うコンテンツSEOなどが有効です。
BtoCの場合は、Webサイトやメールなどのデジタルチャネルを通じた購買プロセスが可視化できるMA /CRMツールの活用や、 Facebook/Twitter/Instagramといったプラットフォームを活用したSNS広告が有効です。
デジタルツールやSNSの活用にあたっては外部パートナーの力を借りるなど、専門家や実績有の企業からパートナー選びを行う事が重要です。
また、デジタルマーケティングを行うには、大前提として最適な施策を考える手段としてIT技術・デジタル技術デジタルツールを活用して、 単なる効率化・生産性向上だけではなく、ビジネスモデル全体や組織、企業文化・風土をも変革し、 競争上の優位性を確立させるDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが必要不可欠となります。
まとめ
今や1人1台スマホを所持している時代となり、マーケティングにおいても購買プロセスは複雑化を極めつつあります。
デジタルマーケティングを行うことで、「個客」の購買プロセスを把握できるだけでなく、人件費、モノの調達、情報取得の効率化といったコストの削減や、 成約スピードアップといった時間への貢献、在庫、廃棄物の削減といった無駄の削減などのメリットがあります。
それ以外にも、デジタルマーケティングでは、実績を明らかにすることができるだけでなく、リアルタイムで結果を把握することができるものもあり、 データをもとに今後の施策を改善することができるため、より早くPDCAサイクルを回すことができます。
BtoB企業マーケティングにおいても「デジタルマーケティング」を活用し、顧客の求めるニーズを素早く把握・可視化することで、最適なマーケティング活動を行いましょう!