成功事例に学ぶ、法人営業で効果的なリードナーチャリング手法
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新規顧客開拓にかかせない、見込み顧客=リード。
新たなリードを開拓するのには時間もかかる一方で、苦労して獲得したリードの大半は、獲得した時点では商品やサービスに対する理解が十分に進んでおらず、購買意欲も低いという傾向があります。
自社の顧客となりうるリードの購買意欲を高め、受注につなげるにはどのようなステップが必要なのでしょうか?
今回は、法人営業に欠かせないリード育成(リードナーチャリング)のメリットと、リードナーチャリングのプロセス、成功事例をご紹介します。
もくじ
- 見込み顧客を育成する「リードナーチャリング」とは?
- 法人営業の成功に「リードナーチャリング」が必要な理由
- リードクオリフィケーションとリードナーチャリングの違い
- やり方・進め方は?「リードナーチャリング」の手法とプロセス
- どの業種にも有効!汎用性の高い「リードナーチャリング」の成功事例
- リードナーチャリングで陥りがちな失敗事例
- ナーチャリングを効率的に。「リードマネジメント」で顧客情報を可視化
- ホットリードを逃さない「サイト訪問企業一覧」
- リードナーチャリング初心者が読みたい教本
- まとめ
見込み顧客を育成する「リードナーチャリング」とは?
「リードナーチャリング(Lead Nurturing)」とは、展示会やセミナーといったイベントや、 名刺交換、SNSやオウンドメディアなどから集客した潜在顧客に対して、インサイドセールスなどの方法を用いて、契約や受注となる顧客へと育成・教育するプロセスのことを言います。
リードナーチャリングは、適切なアプローチを行うことで関係を維持し、最終的に売り上げにつなげることを目的としています。
6割の「これから検討層」を育てるリードナーチャリング
ここに興味深いデータがあります。
Marketing Donut社の調査によると、企業へ情報や資料請求したリードの63%は、購買行動をとるまでに3ヶ月以上かかると言われています。
また、ある調査によると『放置されたリードのおよそ8割が2年以内に競合他社から商品を購入している』という結果が出ており、様子見をするリードに対し、検討期間を通じたコミュニケーションを重ねるなど関係性を構築し、 適切な「リードナーチャリング」を行うことで、自社の顧客へと育成していくことが必要です。
関連記事:潜在顧客から顕在顧客へ - リードを確実に掘り起こす秘訣
リードナーチャリング次第で、受注率は大きく上昇する
Strategic IC社の調査によると、リードナーチャリングを行われたリードは、育成されていないリードにくらべると、受注率が約20%上昇することがわかりました。
このことからも、購買意欲の低いリードであっても、しっかりと伴走して育成することで購買意欲を高めることができると言えます。
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法人営業の成功に「リードナーチャリング」が必要な理由
なぜ法人営業にはリードナーチャリングが欠かせないのでしょうか?
先で述べたように、BtoBの場合、見込顧客である企業内で担当者が複数いるケースが多く、購買プロセスの長期化はもちろん、情報化が進む中で、見込み客は各社の商品情報を自発的に調べ、比較・検討が当たり前となっており、購買プロセスの複雑化が進んでいます。
比較サイトや口コミといった様々なメディアから手軽に情報収集が可能になる中で、顧客が購買に至るまでのプロセスにおいて「点」ではなく「線」でのアプローチが必要不可欠となっています。
マーケティングと連携してナーチャリングを実践することで、休眠顧客の掘り起こしや長期的な顧客管理によって顧客情報を資産として蓄積し、適切な顧客分析が可能になります。また、育成によって将来的に購買に繋がりそうな見込み顧客を識別し、戦略的なアプローチによって営業効率を大幅に改善できるといったメリットがあります。
リードクオリフィケーションとリードナーチャリングの違い
リードナーチャリングと類似したビジネス用語で、「リードクオリフィケーション」という言葉があります。
リードクオリフィケーションとは、獲得した見込み顧客の中から、購入の可能性が高いリードを選別することを言います。
育成していくリードナーチャリングとは異なり、お問い合わせや企業のWEBサイト上での行動履歴データなどを参考に、リードに優先順位をつけます。
リードクオリフィケーションを行うことで、やみくもに営業をするのでなく、確度の高いホットリードから優先的にアプローチができ、営業の生産性を向上できます。
また、顧客の満足度や体験価値向上にもつながります。
リードクオリフィケーションを行うには、見込み顧客情報を一元管理できるツールの活用が有効です。
中でもMAツール(Marketing Automation)は、見込み客の創出(リードジェネレーション)、見込み客の育成(リードナーチャリング)、見込み客の分類(リードスコアリング、または、リードクオリフィケーション)、見込み客のリスト管理(リード管理)を一括で行うことができます。
MAツールを使うことで、貴社の商品やサービスを欲しいと思っている確度の堅い見込み顧客を察知し、 最適なタイミングでのアプローチを可能にすることができるのです。
リードジェネレーション、リードナーチャリング、リードクオリフィケーションの3STEPは「デマンドジェネレーション」と呼ばれ、BtoBマーケティングでも重要なマーケティング活動を経て営業部門へ渡す、見込み案件の創出・発掘活動全般のことを表します。
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やり方・進め方は?「リードナーチャリング」の手法とプロセス
リードナーチャリングの手法にはどのようなものがあるのでしょうか?
手法とプロセスについて詳しく見ていきましょう。
リードナーチャリングの手法
- 訪問
- オンラインオフラインでのセミナー・展示会イベント
- 定期メルマガ・メールDM
- コアなファン層を育てるオウンドメディア
- リターゲティングを活用したWEB広告
- 潜在顧客にアプローチも可能なSNSマーケティング
まずは上記のようなリアルとオンライン手法を活用して潜在顧客の情報を収集し、顧客情報の一元化を行います。
リードの性別や住所、年齢、職業といった属性や、過去の取引履歴や直近の購入行動などの情報を基に見込み顧客をセグメントすることで、アプローチすべき優先顧客(ホットリード)を洗い出すことができます。
ここで集めたホットリードに対して、定期的な接点を作り出し、信頼関係を構築しながら購入の機会を作っていきます。
今日から実践!リードナーチャリングの進め方
次に、リードナーチャリングのプロセスについて解説します。
<STEP1>リードスコアリングの設定
まずはMAツールのスコアリング機能を活用し、リードの行動履歴をもとに、リードが今購買プロセスの中のどのようなフェーズにいるのか点数ごとにグループ分けしていきます。
<STEP2>リードナーチャリングのKGI・KPIの策定
リードナーチャリングのゴールを策定します。はじめに、「1年後の売り上げを去年の同月の1.5倍にする」といったKGI(重要目標達成指標)を策定し、その後「売り上げをいくら伸ばすか」や「商談化率をどのくらい上げるか」などといった具体的なKPI(重要業績評価指標)を設計していきます。
KPI・KGIの策定によってナーチャリングの成果の分析が明確になることで、商談につながりやすくなります。
<STEP3>フェーズに合わせたコンテンツ配信
フェーズ分けされた属性ごとに、コンテンツ配信や広告配信など適切なアプローチを実践していきます。
リードナーチャリングを成功させるためには、顧客接点を強化すべく、自社製品の売り込みよりも顧客課題のヒアリングを徹底的に行います。
そしてその課題解決に即したソリューションとなる自社プロダクトの効果提案を基本とし、そこに自社商材の特徴に合わせて商談をしっかりとステップを踏みながら、状況把握をしながら進めてゆくことが重要です。
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どの業種にも有効!汎用性の高い「リードナーチャリング」の成功事例
リードナーチャリングを通じて顧客を獲得していった事例は多く存在しています。
早速、実際の成功事例を見てみましょう。
1. 株式会社クラシコム/オウンドメディア・SNS
「北欧、暮らしの道具店」は主に女性をターゲットとし、北欧に特化した雑貨商品などを展開しているECサイトです。
自分にフィットしたライフスタイルを実現したい方に向けて心地良い暮らしを提案しており、 WEBサイトの他、SNSやYoutubeでのオリジナルドラマの動画コンテンツも活用し、コアなファン層を獲得しています。
サイトコンテンツでは月間1500万PV以上を獲得し、公式アプリは100万DLを突破。
インスタグラムのフォロワーも113万人以上と、オウンドメディアとSNSを併用したリードナーチャリングを実践しています。
2. SAP Japan Co., Ltd./ウェビナー
「マイクロソフト」や「オラクル」の競合であり、クラウドビジネスソフトウェアを提供するドイツのBtoB企業であるSAP社。
「ウェビナー(オンラインセミナー)」を駆使し、自社と見込み客の距離を近づけ、見込み客に寄り添って情報提供を行いました。
開催されたウェビナーは常に録画されており、参加できなかった見込み顧客がウェブ上でいつでもレポート動画を見ることが可能というベネフィットを提供し続け、 結果として10億ドル以上の売上を計上することに成功しました。
ウェビナーで参加者から質問を募ることで、顧客の課題を明確にし、今何を必要としているのか、課題解決のサポートを行うことで顧客からの信頼を勝ち取ってきました。
3. 日本電気株式会社(NEC)/メールマーケティング
NECはかつてWeb上のセミナー形式コンテンツなどの形で、「情報提供」→「オファー」→「レスポンス(問い合わせ)獲得というダイレクトレスポンスマーケティングを行ってきましたが、 製造業の顧客を対象としたビジネス・インテリジェンスソリューション拡販のため、メール配信によるリードナーチャリングを実践。
じっくりとWebコンテンツに目を通してもらうことができ、リードがどの程度興味を持ってくれているのかがわかるようになり、 見込み顧客に合わせた効果的な活動ができるようになりました。
このように注目を集めているリードナーチャリングですが、多くの導入事例から見てわかるように、見込み顧客を獲得してもすぐに売り上げに結び付くわけではありません。
リードナーチャリングを通じて、定期的なアプローチと手法で顧客接点を保ちながら、適切なタイミングで「選んでもらえるパートナー」となりえるかがカギを握っていると言えるでしょう。
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リードナーチャリングで陥りがちな失敗事例
仕組みは理解できたけれど、リードナーチャリングを実践していても「契約につながらない」「適切なアプローチ方法が分からない」といったように、失敗してしまうケースも多々散見されます。
ここでは、リードナーチャリング実践時にありがちな失敗を解説していきます。
1. リードの数が少ない
第一に、そもそものリードの数が少ない場合、リードナーチャリングに効果はありません。
ある事例では、見込み顧客3000件にDMを送信したところ、お問合せ(反響)があったのはその2%の60件でした。
そこから商談アポイントが取れたのは15件となり、最終的に受注に至ったのは3件という結果が出ています。
最終受注率がリードの0,1%程度となっていることからも、受注件数を増やすためには、リードの母数を増やす必要があることが分かります。
2. コンテンツが不足している
長期的に見込み顧客を育成するリードナーチャリングを実施するには、コンテンツの作成が欠かせません。
オウンドメディア記事、導入事例、ウェビナーの動画・資料、ホワイトペーパーなどを活用し、見込み顧客にとって有益なコンテンツを途切れることなく提供し続けることが大切です。
3. 顧客理解が不足している
リードナーチャリングは顧客の状況に合わせた適切な施策を展開し、長期的に育成することで顧客化していくものです。
そのため、見込み顧客の状態に関係なく売り込んでは必ず失敗を招きます。まずは顧客の状態を可視化し、信頼関係を構築していきましょう。
4. リードの購買プロセスの理解が誤っている
見込み顧客が商品・サービスと出会い、購買に至るまでのプロセスを表した「カスタマージャーニー」。
顧客の心理や行動を軸に商品・サービスを改善し、適切な施策を展開することで、マーケティング活動をより効率化することができます。
カスタマージャーニーの理解が誤っていると、適切な施策展開ができなくなってしまうため、顧客理解とともに正しく把握することが必要です。
5. KPI・KGIの策定が行われていない
そもそもなぜKPI・KGIの設定が必要なのでしょうか。
最終目標であるKGIを設計し、その目標を達成するための中間指標であるKPIを策定していきます。
KPIを設定することで、販促施策の売上げへの貢献度を評価でき、事業の成長を図ることができます。
これら2つが設定されていないと、ゴールが不明確になり達成を測ることができなくなってしまいます。
なかなかナーチャリングの効果が見えない場合は、上記のようにリードナーチャリングを成功させるための大切なポイントが欠けている可能性があります。課題や改善すべき点がないか確認し、リードナーチャリングを実践していきましょう。
ナーチャリングを効率的に。
「リードマネジメント」で顧客情報を可視化
見込み顧客に対して段階的なアプローチを行い、リードの購買意欲を高めていくリードナーチャリング。
効率的なナーチャリング(育成)を行うためには、顧客状態を可視化しておくことが重要です。
その際、最も有効と言われているのが、CRMなどの顧客情報管理ツールの導入です。
顧客情報管理ツールは、顧客情報を一元管理できるだけでなく、「抱えている案件の状態が把握しにくい」、「人手不足で見込み顧客をフォローできていない」、「反響対応や追客のルールが俗人化している」、「情報の引き継ぎが難しい」といった多くの課題を一気に解決できます!
FutureSearchの顧客管理機能「リードマネジメント」は、アプローチから受注までの営業プロセス・顧客状態を可視化し、一元管理できる営業支援ツールです。
担当営業が日々の活動を入力すると、次の打ち手やアクションを提示してくれ、 案件の進捗管理が可視化でき、データやレポートの作成・抽出が簡単にできます。
営業担当者の活動を可視化することで、見えていなかった営業課題を浮き彫りにし、営業の売上・利益の最大化を実現します。
FutureSearchの顧客管理機能「リードマネジメント」を活用し、より効率的なナーチャリングを行いましょう!
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ホットリードを逃さない「サイト訪問企業一覧」
ナーチャリングとは、見込み顧客に対して定期的かつ段階的なアプローチを行い、リードの購買意欲を高めホットリードへと育成していくことです。
もしも確度の高いホットリードが可視化できれば、より戦略的でタイムリーなアプローチを仕掛けることができます。
確度の高い見込み顧客は、もしかしたらすでに貴社の製品・サービスに興味を抱き、ホームページを閲覧しているかもしれません。
そこで、ホットリードを可視化する、Webサイト来訪企業を可視化したアクセス解析機能「サイト訪問企業一覧」についてご紹介します。
「サイト訪問企業一覧」とは、FutureSearchが発⾏する独自のタグをユーザー様が運営するサイト内に埋め込んでいただくことで、そのサイトに訪問した企業を特定し、リスト化する機能です。
サイトを訪問した企業=貴社に興味・関心を抱いているホットリードをリスト化することで、タイミングキャッチを逃すことなく、アプローチが可能になります。
任意で指定した流入期間に、どれだけのホットリードが訪問してくれているのかが一目瞭然になるので、すぐにアプローチできる確度の高い企業リストを抽出できます。
サイト訪問企業一覧でダウンロードできる項目
- 法人名称
- 法人番号
- サイトURL
- 事業内容
- 企業特色
- 郵便番号
- 住所
- 電話番号
- FAX番号
- 設立年月日
- 従業員数
- 代表者名
- 資本金
- 上場区分
- 業種
- 最終アクセス日
- セッション数
- 流入元
このように、豊富な企業情報が載っているので、アプローチに必要な情報が一括でダウンロードできます。
また、企業の訪問回数・訪問日の可視化のほか、特定の条件での並び替えや絞り込みをすることも可能です。
「サイト訪問企業一覧」を活用することで、自社の製品・サービスに関心を持つホットリードを特定することができるため、アプローチの確度を高め、営業効率を格段に上げることができます。
リードナーチャリングとともに、ホットリードを創出する「サイト訪問企業一覧」をぜひご活用ください!
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リードナーチャリング初心者が読みたい教本
最後に、リードナーチャリングを実践する際に参考になる書籍をいくつかご紹介します。
“未”顧客理解 なぜ、「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか? (日経BP)
「未顧客を理解して市場を拡大するための教科書」的な一冊。
どの企業のどんな商品でも、「知らない・買わない・興味のない未顧客」が市場の大半を占めています。
売上を増やして事業を成長させるには、そうした「買ってくれない未顧客」を理解して、新しく1回買ってもらわなければいけません。
海外の豊富な先行研究に基づくエビデンスを示しながら、未顧客を理解して事業成長するためのマーケティング原則を、マンガや図表を用いて丁寧に解説されています。
THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス(翔泳社)
「顧客の購買プロセスの半分以上は、営業に会う前に終わっている」クラウド、SaaSの黎明期に日米のオラクル、セールスフォース・ドットコムで成長の現場に立ち会いマルケト日本法人を立ち上げた著者がプロセスやKPI、フェーズ変更の指標など、ビジネスの核心を詳しく解き明かします。
リードビジネス“打ち手"大全 デジタルマーケで顧客を増やす 最強の戦略 86 (できるMarketing Bible) (インプレス)
展示会に出展するとき、メールマガジンの運営に悩むときなど、際にリードビジネスに取り組む中で突き当たる課題や問題に、具体的な“打ち手”を提案。
困ったときに開けば、必ず状況を切りひらくヒントが見つかります。
デジタル時代の基礎知識『BtoBマーケティング』「潜在リード」から効率的に売上をつくる新しいルール(翔泳社)
BtoBマーケティングが注目される背景や営業スタイルの変化、MAツールを入れる前に考えること、この一冊でBtoBマーケティングの全体像が理解でき、少人数で効率よく売上をつくれるBtoBマーケティングの考え方・施策がわかる教本です。
これらの教本やセミナー、成功事例なども参考に、効果的なナーチャリングを実践していきましょう。
まとめ:法人営業にはリードナーチャリングが欠かせない
いかがでしたか?
新規獲得したリードの大部分は、獲得した時点では商品やサービスに対する理解が十分に進んでおらず、購入意欲も低いことから、 戦略的な二次アプローチが必要不可欠であると言えます。
しかし、リードナーチャリングを通じて定期的な顧客接点を持ちながら「価値あるソリューション」を提案し、最終的にはホットリードへと育成することができるのです。
時間がかかり難しいと思われがちなリードナーチャリングですが、変化し続けるマーケットの中で新規顧客開拓を成し続けていくためには、 最も効果的な施策のひとつであると言えます。
導入事例を参考にさまざまな方法の中から、自社に合ったリードナーチャリングの方法を見つけていきましょう。